日本は世界でも類を見ないスピードで高齢化が進み、総人口の約3分の1が65歳以上という「超高齢社会」に突入している。この変化は医療、介護、労働、年金制度など、社会のあらゆる分野に深刻な影響を及ぼしている。医療や介護の需要増加により、現場では人手不足と財政負担が深刻化しており、地域コミュニティの支え合いの仕組みが求められている。また、定年後も働き続けたい高齢者が増える一方で、雇用環境やデジタル格差といった新たな課題も浮き彫りになっている。こうした状況を打開するためには、世代を超えた共助の仕組みづくりと、テクノロジーを活用した包括的支援が不可欠である。高齢者を「支えられる側」ではなく「支える側」として活躍できる社会の構築こそが、今後の日本の持続可能な未来を築く鍵となる。
2023年3月22日水曜日
高齢になっても身だしなみは大切 その理由は?
高齢になっても身だしなみは大切 その理由は?
3/20(月) 18:10配信
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読売新聞(ヨミドクター)
身だしなみを整えることは、高齢者の社会参加やコミュニケーションを促す上でも大切だ。気持ちが前向きになる効果があり、健康にも好影響を与えるという指摘もある。介護保険外のサービスとして、化粧やネイル、マッサージを取り入れる動きも出てきている。(阿部明霞)
ファンデ塗って明るく
ファンデーションを塗る利用者を見守る大平さん(右)。自分でできることは、利用者にやってもらっている(千葉県浦安市で)
「チークは、にっこり笑った時のほっぺの一番高くなった所に入れるのがコツです」。看護師で美容・整容ケアに取り組む大平智祉緒(ちしお)さん(39)が、鏡をのぞき込みながら利用者の女性(85)にアドバイスした。
千葉県浦安市の老人ホーム「舞浜倶楽部 新浦安フォーラム」に入居するこの女性は、2週間に1回、大平さんに顔のケアをしてもらっている。ホットタオルで顔を拭いてから、化粧水やクリームで保湿し、マッサージもする。アイシャドーや口紅は自分で選び、約30分かけて仕上げてもらうと、「あら、きれいだね。誰にも負けない気分よ」と明るく笑った。
大平さんは中学生の頃に父を亡くした。がんでやせた父の姿を怖く思い、あまり話ができなかったことを後悔してきた。
そこで、ターミナルケア(終末医療)ができる看護師を目指し、大学付属の病院に勤務。ただ、当時の医療現場は「生かす」ための治療とそれを支えるための看護が全てで、患者の身だしなみは二の次だと感じたという。
「本当に患者が求めるケアは何だろう」と考えている時、看護学生にマニキュアを塗ってもらった患者が笑っている姿を目にした。このことをきっかけに、美容を看護に生かしたいと考えるようになった。
高齢者向けのメイクの講師などを始め、2017年にレクリエーションの一環として、介護施設で美容・整容ケアを開始。現在は介護保険外のサービスとして、施設の入居者を定期的に訪問している。ケアの間はゆっくり話を聞き、優しく肌に触れて、笑い合えるような時間を過ごしてもらう。男性には、顔全体の保湿などのケアのほか、鼻や口の手入れをする。
大平さんは「外見はその人らしさの大切な要素。身だしなみが整えば、その人らしく生きることにつながる」と話す。
ヘルパーとして働く東京都江東区の清水愛(めぐみ)さん(44)は、首都圏の個人宅などを訪問して、手や足のマッサージや化粧などのサービスをしている。一番人気はネイルケア。ネイルは鏡を見なくても自分の目で楽しめるためだ。
月2回ほど利用する都内の女性(71)は、脳梗塞(こうそく)になりかけ、投薬治療をしていた約1年前、知人からサービスを紹介された。「いつも暗い顔をしている。楽しいことを考えないとだめよ」と言われたという。
闘病前は映画鑑賞に外食と活発に動き回っていたのに、病気のことが頭から離れず、外に出る気になれない。身だしなみも気にしなくなり、自分でも「疲れ切った顔だ」と感じていた。
化粧をしてもらうと、鏡を見て思わず笑みがこぼれた。美容師資格のある清水さんからヘアスタイルのアドバイスを受け、自分でも身だしなみを整えるようになると、主治医に「元気そうだね」と言われたという。この女性は「きれいに塗ってもらった爪を見ると、気持ちがウキウキする。会話も楽しいし、私にとって必要な時間」と語る。
清水さんは昨年1月に一般社団法人「介護ビューティー&メンタルケア協会」(東京)を設立し、高齢者向けのメイクや施術者養成講座を各地で実施している。「リラックスして前向きな気持ちになる人が増えるように、施術者を増やしていきたい」と意気込んでいる。
認知機能維持に影響も
見た目と認知機能には、関係があることがわかってきている。認知症の診療に携わる東大病院認知症センターの亀山祐美副センター長(49)らの研究によると、見た目の年齢が実年齢より高いと、認知機能が低下している傾向があるという。
研究は、東大病院の物忘れ検査受診で入院した約120人を対象に実施。認知症の専門医や心理士10人が、患者の顔の写真から、見た目の年齢を評価し、認知機能などとの関係を調べた。特に女性は傾向が顕著で、亀山さんは「認知機能が正常な女性は身だしなみに気を使うため、若く見える。そのことが影響している可能性がある」と指摘する。
ちぐはぐな外見は、認知機能低下のサインになるという。例えば、化粧は複数のステップがあって使う道具も多いため、計画を立てて遂行する能力が衰えると、うまくできなくなる。認知症の人の中には、ボールペンで眉を描いたり、空間認識が苦手になって左右の眉の位置がずれたりする人もいる。
身だしなみに構わなくなると、外出や人との交流も面倒になり、認知機能の低下に拍車がかかる可能性もある。亀山さんは「家の中のよくいる場所に鏡を置き、見ては整えるということを習慣にしてほしい」と呼びかける。家族が「きれいになったね」「格好良くなったから散歩しよう」と声をかけて、気持ちを引き立たせることも重要だという。
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