日本は世界でも類を見ないスピードで高齢化が進み、総人口の約3分の1が65歳以上という「超高齢社会」に突入している。この変化は医療、介護、労働、年金制度など、社会のあらゆる分野に深刻な影響を及ぼしている。医療や介護の需要増加により、現場では人手不足と財政負担が深刻化しており、地域コミュニティの支え合いの仕組みが求められている。また、定年後も働き続けたい高齢者が増える一方で、雇用環境やデジタル格差といった新たな課題も浮き彫りになっている。こうした状況を打開するためには、世代を超えた共助の仕組みづくりと、テクノロジーを活用した包括的支援が不可欠である。高齢者を「支えられる側」ではなく「支える側」として活躍できる社会の構築こそが、今後の日本の持続可能な未来を築く鍵となる。
2023年7月20日木曜日
高齢者の一人暮らしが増加中 孤独感を和らげる新技術とは
認知症リスクを高める高齢者の一人暮らしが増加中 孤独感を和らげる新技術とは
人工知能(AI)技術の向上など、テクノロジーの進化によって、身近な存在になってきたロボット。特に言葉や動きによって人と交流ができるコミュニケーションロボットは、介護現場や一人暮らしの高齢者に役立つとして、注目されています。コミュニケーションロボットの開発や研究に携わる専門家に、使用するメリットや選び方についてうかがいました。
【グラフを見る】増加傾向にある高齢者の一人暮らし 社会的孤立が認知症の発症リスクを高める
・コミュニケーションロボットとは
・高齢者の話し相手にコミュニケーションロボットを使うメリット
・高齢者向けコミュニケーションロボットを選ぶポイント
・ロボット・セラピーの効果とは?
高齢者向けコミュニケーションロボットについて解説してくれたのは……
大和信夫(やまと・のぶお)
北陸先端科学技術大学院大学先端科学技術研究科博士後期課程在籍
防衛大学校理工学部卒業。2007年経済産業省「日本ものづくり大賞優秀賞」受賞、13年日本機械学会教育賞受賞。ヴイストン株式会社代表取締役社長。一般社団法人i-RooBo Network Forum副会長。
神田陽治(こうだ・ようじ)
北陸先端科学技術大学院大学先端科学技術研究科(知識科学系)教授
86年、東京大学工学博士。富士通研究所、富士通を経て2011年より現職。北陸先端科学技術大学院大学先端科学技術研究科長、副学長。知識科学、サービス科学、価値創造の研究に従事。
コミュニケーションロボットとは
ロボットには、大きく分けると工場など生産環境において、人の作業の代替としての役割がある「産業用ロボット」と、家事や介護など日常生活を支援する役割があるロボットがあります。日常生活を支援するロボットは「パートナーロボット」とも呼ばれ、その中に含まれるのが「コミュニケーションロボット」です。会話や動きによって、人と交流を持つことができる特徴があります。
高齢者の話し相手にコミュニケーションロボットを使うメリット
コミュニケーションロボットは、家庭ではペットの代わりになって人を癒やしたり、エンターテインメントの世界では人を楽しませたりすることができます。では、高齢者にとっては、どのようなメリットがあるのでしょうか。
【介護施設で】介護者の負担を軽減する
介護施設で働く介護者は、時間的に余裕がないことが多く、被介護者となる高齢者との会話に時間を取られるとほかの作業が進みません。たとえ数分程度であっても高齢者がコミュニケーションロボットと関わる時間ができれば、その分介護者に時間的な余裕ができ、負担が軽減します。
また、介護者にとって大きな負担となるのが、認知症高齢者の暴言や暴行、ひとり歩きなどのBPSD(行動・心理症状)です。認知症の人は認知機能が低下しても脳の情動を司る部分の機能は、比較的維持されることがわかっています。コミュニケーションロボットとの触れ合いが認知症の人の感情に働きかけることで、BPSDの軽減、さらには介護者の負担軽減につながることが期待されています。
ただし、場合によってはコミュニケーションロボットの導入が、介護者にとって心理的ストレスになったり、作業の負担が増えたりする面もあることが報告されています。例えば操作が難しく高齢者がうまく扱えないと、そばで操作をサポートする必要があります。また、高額なロボットだと、高齢者が落として壊してしまうのではないかと常に心配することになり、心理的ストレスになるというわけです。介護者の負担にならないロボットについては、後述します。
【一人暮らし家庭で】高齢者の孤独感を和らげる
一人暮らしの高齢者は増加傾向にあり、内閣府の調査によると、2020年の65歳以上の男女それぞれの人口に占める割合は男性15.0%、女性22.1%で、今後も増加することが見込まれています。高齢者の一人暮らしで問題になることの1つは、人と交流する機会が少なくなりやすいことです。社会的孤立は、要介護の手前の状態である
高齢者向けコミュニケーションロボットを選ぶポイント
コミュニケーションロボットには、形状や機能によってさまざまな種類があります。高齢者が使用する場合、どのようなコミュニケーションロボットを選べばいいのでしょうか。選択する際のポイントを紹介します。
形状
コミュニケーションロボットの形状は、大きく分けると人間型、動物型のほか、無機質な球型や円柱型のものもあります。人間型には、人のような外観で、中には2本の足で歩行ができるものや、赤ちゃんを模したものなどがあります。好みは人によって分かれるところなので、使用する高齢者に合わせて選ぶことが大切です。孤独感を和らげることが目的であれば、「抱っこ」するなどして高齢者のパーソナルスペースに入り込めて、言葉以外の交流ができる赤ちゃん型、動物型が向いているかもしれません。
なお、認知症高齢者に関しては、「赤ちゃんを模した人形のほうが動物型ロボットよりも受け入れ、注意を払い、積極的に関わる」「認知症高齢者はクマのぬいぐるみよりも赤ちゃん人形を好む」といった海外の研究報告があります。また、赤ちゃんを模した人形を利用する人形療法は、認知症高齢者のBPSDを軽減するといった報告もあります。さらに笑う、泣くといった発話機能がある赤ちゃん型ロボットは、人の情動に働きかけることから、認知症の人であっても記憶に残りやすく、愛着を持ちやすいといったことが考えられます。
また、加齢に伴って感覚機能は低下していきますが、指先の触覚はほかの感覚に比べて高齢になっても低下しにくいと言われています。このため、触ると気持ちがいいなど、触覚を重視して選ぶこともポイントです。
機能
コミュニケーションロボットには、例えば次のような機能があり、商品によって搭載されている機能が異なります。認知機能や介護度など使用する高齢者のニーズのほか、介護施設で使用するのか、家庭で使用するのかなど、使用する場に合わせて選択します。
・発話機能(感情表現などの音声を再生できる)
・音声認識機能(人間が発した音声に反応できる)
・見守り機能(見守りセンサーが搭載され、リアルタイムの安全確認のほか、転倒につながる予兆動作を検知できるタイプもある)
・お知らせ機能(服薬などのスケジュールを設定すると通知される)
・脳トレ・ゲーム機能(脳トレやゲームが搭載されていて脳の活性化につながる)
前述した通り、ロボットを選択する際には、介護者に心理的負担が生じないものを選ぶという視点も大切です。高額なもの、操作が難しいもの、被介護者となる高齢者や認知症の人が落としたり投げたりしたときに壊れやすいものは、介護者が常時見守る必要があり、心理的負担が大きくなります。介護者の負担軽減を考えると、比較的安価である、操作が簡単、耐久性があるといったことが条件となります。
価格
コミュニケーションロボットは、搭載されている機能によって、価格に大きな幅があります。機能や性能が高くなれば当然費用も高くなるので、ロボットを選ぶ際には、まずはどの程度の予算を準備できるのかを確認することが大切です。
※コミュニケーションロボットが高額で購入できない場合、自治体によっては介護施設などの法人を対象に補助金を利用できるよう制度を設けているところもあります。補助対象となるロボットの種類は、自治体によって異なります。
高齢者向けコミュニケーションロボットを選ぶポイント
コミュニケーションロボットには、形状や機能によってさまざまな種類があります。高齢者が使用する場合、どのようなコミュニケーションロボットを選べばいいのでしょうか。選択する際のポイントを紹介します。
形状
コミュニケーションロボットの形状は、大きく分けると人間型、動物型のほか、無機質な球型や円柱型のものもあります。人間型には、人のような外観で、中には2本の足で歩行ができるものや、赤ちゃんを模したものなどがあります。好みは人によって分かれるところなので、使用する高齢者に合わせて選ぶことが大切です。孤独感を和らげることが目的であれば、「抱っこ」するなどして高齢者のパーソナルスペースに入り込めて、言葉以外の交流ができる赤ちゃん型、動物型が向いているかもしれません。
なお、認知症高齢者に関しては、「赤ちゃんを模した人形のほうが動物型ロボットよりも受け入れ、注意を払い、積極的に関わる」「認知症高齢者はクマのぬいぐるみよりも赤ちゃん人形を好む」といった海外の研究報告があります。また、赤ちゃんを模した人形を利用する人形療法は、認知症高齢者のBPSDを軽減するといった報告もあります。さらに笑う、泣くといった発話機能がある赤ちゃん型ロボットは、人の情動に働きかけることから、認知症の人であっても記憶に残りやすく、愛着を持ちやすいといったことが考えられます。
また、加齢に伴って感覚機能は低下していきますが、指先の触覚はほかの感覚に比べて高齢になっても低下しにくいと言われています。このため、触ると気持ちがいいなど、触覚を重視して選ぶこともポイントです。
機能
コミュニケーションロボットには、例えば次のような機能があり、商品によって搭載されている機能が異なります。認知機能や介護度など使用する高齢者のニーズのほか、介護施設で使用するのか、家庭で使用するのかなど、使用する場に合わせて選択します。
・発話機能(感情表現などの音声を再生できる)
・音声認識機能(人間が発した音声に反応できる)
・見守り機能(見守りセンサーが搭載され、リアルタイムの安全確認のほか、転倒につながる予兆動作を検知できるタイプもある)
・お知らせ機能(服薬などのスケジュールを設定すると通知される)
・脳トレ・ゲーム機能(脳トレやゲームが搭載されていて脳の活性化につながる)
前述した通り、ロボットを選択する際には、介護者に心理的負担が生じないものを選ぶという視点も大切です。高額なもの、操作が難しいもの、被介護者となる高齢者や認知症の人が落としたり投げたりしたときに壊れやすいものは、介護者が常時見守る必要があり、心理的負担が大きくなります。介護者の負担軽減を考えると、比較的安価である、操作が簡単、耐久性があるといったことが条件となります。
価格
コミュニケーションロボットは、搭載されている機能によって、価格に大きな幅があります。機能や性能が高くなれば当然費用も高くなるので、ロボットを選ぶ際には、まずはどの程度の予算を準備できるのかを確認することが大切です。
※コミュニケーションロボットが高額で購入できない場合、自治体によっては介護施設などの法人を対象に補助金を利用できるよう制度を設けているところもあります。補助対象となるロボットの種類は、自治体によって異なります。
フレイルを加速させる要素であり、認知症の発症リスクを高める一因でもあります。コミュニケーションロボットが高齢者の話し相手になったり、ペットの代わりになったりすることで高齢者の孤独感を和らげることも、さまざまな実証実験から明らかになっています。
2023年7月19日水曜日
医師が語る長生きのカギは「脂質中毒」からの脱却 食生活は発酵食品、野菜を!菓子パンはNG
医師が語る長生きのカギは「脂質中毒」からの脱却 食生活は発酵食品、野菜を!菓子パンはNG
7/19(水) 11:00配信
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脂質の摂取をやめられない状態の「脂質中毒」(Ph/photoAC)
必要以上に脂質を摂ってしまい、脂質の摂取をやめたくてもやめられない状態である「脂質中毒」。さまざまな病気を引き起こす要因となるため、長生きするためには脂質中毒からの脱却がカギです。そこで、『脂質中毒 脳は「油」を欲するようにできている』(アスコム)を上梓し、脂質中毒の危険性を訴える医学博士の岡部正さんに、脂質中毒から抜け出すための食習慣・生活習慣の改善方法を教えてもらいました。
【写真】「脂質中毒」に要注意な食材の写真とおすすめの食材を写真とともに紹介!
* * *
脂質中毒から抜け出すためには食習慣の改善から
脂質中毒から抜け出すためには、脂質を控えた食事をするべく食生活を見直す必要があります。食生活の改善に当たっては、まずは「朝食をきちんと摂ること」を岡部さんはすすめます。
◆朝食を摂って間食を防ぐ
岡部さんが朝食を摂ることをすすめるのは、朝食を摂らないと空腹感から間食をしてしまうことが多いから。朝食を抜くことは間食を我慢できない可能性を高める以外にも、さらにデメリットがあると言います。
「たとえ間食を我慢できても、昼食時には空腹感のピークが訪れます。空腹状態でランチを食べに行くのですから、がっついて食べる早食いになりやすく、ひいては大食いになってしまいます」(岡部さん・以下同)
早食いや大食いの原因にもなる朝食抜き。では、朝にはどんなメニューを選ぶのがいいのでしょうか。
「正直なところ、脂質をしっかり管理できるのであれば、和食であろうが、洋食であろうが、中華であろうが、なにを食べてもかまいません。しかし、無意識のうちに脂質の管理をしやすいのは、圧倒的に和食です。
和朝食の献立は、ごはん、味噌汁、和え物、納豆、目玉焼き、焼き魚……。おかずには、脂質をあまり含んでいないものが選ばれます。ごはんが玄米ならより理想的ですね」
◆朝食に菓子パンはNG! 菓子パンはあくまでもお菓子
朝は手軽に食べられるパン派の人も多いと思います。しかし、その中でも特に菓子パンには注意が必要と岡部さんは言います。
ランチのおすすめは野菜と発酵食品
ランチに関しても、脂質をしっかり管理できるのであればどんな食事でもOK。ただし、「意識的に野菜や発酵食品を摂るようにしてください」と岡部さん。
「脂質を体内で代謝するためには、ビタミンやミネラルなどの栄養素が必須となり、抗酸化作用や動脈硬化を予防する効果も得られます。簡単にいうと、野菜や発酵食品を食べておくと、脂質の悪い影響をやわらげてくれるということです」
◆野菜は早食い防止にも効果的
ビタミンやミネラルなどの栄養素を豊富に含み、抗酸化作用や動脈硬化の予防効果を得られる野菜。さらに、野菜には栄養面以外にもメリットがあります。
「食事をする際、最初に野菜を食べると、胃が膨れるので、脂質中毒の大敵である『早食い』を防ぐことができます。また、最初に野菜を食べると糖質の消化吸収を抑える効果があり、血糖値の急上昇も抑えてくれます」
◆コレステロール低下には大豆やきのこもおすすめ
脂質中毒になると、悪玉コレステロール値が上がり、致命的な病気を患うリスクを高めることもあります。「このやっかいなコレステロールを下げてくれる食品も存在します」と話す岡部さんがおすすめするのは、豆腐や納豆、味噌といった、大豆製品です。
「大豆の成分であるイソフラボンはポリフェノールの一種で、強い抗酸化作用があり、悪玉(LDL)コレステロールが、動脈硬化の原因となる酸化LDLコレステロールになるのを防いでくれます。また、大豆サポニンにはコレステロールの吸収を抑え、大豆レシチンにはコレステロールが沈着するのを防ぐ働きがあります。さらに、がんの発生リスクも抑えます」
ほかに、料理に取り入れやすい食材としてきのこもおすすめだと言います。
「きのこ類にはβ-グルカンという水溶性食物繊維が豊富に含まれています。このβ-グルカンは、血糖値の上昇を抑制し、満腹感を維持し、さらに血液中の悪玉コレステロールを下げる効果があります。カロリーも低いので、いいことずくめの食材なのです」
朝と昼をクリアできれば夜は脂質もOK
岡部さんによれば、朝と昼で意識して脂質の摂取量を減らしたら、夜はある程度自由に食事をしても問題ないとのこと。
「食事は、1日の総摂取カロリー量、そして1日の摂取脂肪量を調整することが大切です。朝と昼にカロリーや脂質の量を抑えられたのなら、夜は脂質を食べても大丈夫です。でも、せっかく脂質を制限しているのですから、揚げ物よりは焼き物や煮物、肉類も脂質の少ない赤身にしたほうがベターですね」
食習慣の改善に加えて、運動習慣をつけるとよりよいそうです。特に、精神的にも楽で、継続しやすい運動習慣が「運動のチョイ足し」です。
「朝起きたあとは、布団やベッドの上で『ストレッチ』。ストレッチ自体に多少のカロリー消費効果があるうえに、体を伸ばすことにより、1日の準備運動になります。ストレッチをした日は、体がスムーズに動きますし、腰痛や関節痛の予防にもなります。
ごはんを食べたあとは、歯を磨きながら『スクワット』。これは、何分何セットなどとノルマを設定する必要はありません。習慣づけることが大事なので、できる範囲で続けてください」
◆教えてくれたのは:医学博士・岡部正さん
おかべ・ただし。岡部クリニック院長。慶應義塾大学医学部卒業。カナダ、カルガリー大学留学。亀田総合病院副院長を務めたのち、オーダーメイド医療を理想に、東京・銀座に岡部クリニックを設立。専門医として生活習慣病の予防と治療に長年携わる。日本病態栄養学会評議員、日本糖尿病学会認定専門医・指導医、日本肥満学会会員。著書に『脂質中毒 脳は「油」を欲するようにできている』(アスコム)など。
「脂質が20gを超える菓子パンはよく売られているので、それらをよく食べていると脂質中毒への道もひたひたと歩んでいくことになります。菓子パンは食事ではなく、脂質をたっぷり含んだお菓子だと思っていてください」
2023年7月12日水曜日
【猛暑日】この夏“エアコン控える高齢者多い” “熱中症”による搬送相次ぐも…なぜ?
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【猛暑日】この夏“エアコン控える高齢者多い” “熱中症”による搬送相次ぐも…なぜ?
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1.2万 回視聴 1 日前 #猛暑日 #熱中症 #高齢者
11日も各地では最高気温が35℃以上の猛暑日となり、関東全域で「熱中症警戒アラート」が発表されました。また熱中症による搬送も相次ぎ、東京消防庁管内では52人が搬送され、そのうち60代以上は39人でした(午後3時時点)。
…
和田秀樹 高齢者は衰える一方で社会の負担になるだけ…って本当?「消費者パワー」
和田秀樹 高齢者は衰える一方で社会の負担になるだけ…って本当?「消費者パワー」をもつ現在の高齢者こそ日本を救うカギである
7/11(火) 6:32配信
婦人公論.jp
和田先生「高齢者層こそ低迷する日本の経済や社会を救うカギ」(写真提供:PhotoAC)
現在、日本人の約3割が65歳以上の高齢者です。高齢者は「生産しないしお金も使わない」「社会の負担となる存在」という世間の声を聞くことも少なくありません。そんななか、「元気で自立し消費者としても大きな存在となっているのが今の高齢層です」と語るのは、高齢者専門の精神科医である和田秀樹先生。和田先生いわく「高齢者層こそ低迷する日本の経済や社会を救うカギ」だそうで――。
【写真】「奥さんへの依存で夫婦関係は悪化する。本当に助け合わないといけなくなるまでは別行動すべし」と語る和田先生
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◆高齢者は消費者として見捨てられている
世の中では、高齢者は衰える一方の存在であり、お金も使わない、社会の負担になると決めつける傾向が強いようです。
また、運転免許の返納を迫る声なども典型的ですが、「高齢者は遠慮がちに縮こまって暮らすべきだ」という考え方もはびこっています。
現代の日本では、高齢者は敬意を示されるどころか、ひどく粗末に扱われているように私は感じます。
たとえば、お笑い番組の『笑点』(日本テレビ系)は今も高視聴率をキープし、テレビ局にとって高齢層も大事な顧客のはずです。しかし、今は面白くもない「ひな壇芸人」が集う若者向け番組ばかりに力が注がれます。
これは「高齢者はテレビCMを見てもお金を使わない」と指摘されているからです。つまり、高齢者は消費者として見捨てられているのです。
しかし、今の日本では「衰えるばかりで、お金も使わない高齢者」は少数派でしょう。約20年前に聖路加国際病院元理事長・日野原重明さんが、約10年前に作家の五木寛之さんが着目した「旧来とは違う、元気な老人」は、その後も明らかに増えています。
『シン・老人力』(著:和田秀樹/小学館)
◆元気な高齢者は立派な消費者である
65歳以上の高齢者で要支援・要介護の人は18%というデータがあります。この18%の人には、きめ細かな福祉の手を差し伸べていく必要があることはあらためて述べるまでもありません。
一方、この数字の裏を返せば、約8割の高齢者は自立して生活しているわけです。ただ現状では、この高齢者も「お金を使わず貯め込むだけ」と思われているのです。
日野原さんや五木さんがそれぞれ提唱した「新老人」の概念を踏まえて、あらためて私が「シン・老人」を定義するなら、「何歳になっても意欲や好奇心をもち、元気に出歩いて消費もする、社会とつながりを保って暮らす老人」となります。
また、「シン」とは単に「新しい」という概念だけにとどまりません。
失敗を恐れず、積極的に進歩的なことに挑む「進」、知識や考え方に深みがあり、洞察力に優れる「深」、意志が強く、信条を守り、生き方に芯がある「芯」、共感力や好感度が高く、誰からも親しまれる「親」、心構えが前向きで意欲や好奇心に満ちている「心」、元気に長生きするための身体ケアを怠らない「身」、品格があり、紳士淑女として立ち振る舞う「紳」など、さまざまな漢字に変換することができるのです。
「シン・老人」の「シン」には高齢者が自分らしく、若々しく生きるために重要なさまざまな漢字をキーワードとしてあてがうことができそうです。
◆“和田ブーム”でわかった高齢者の実態
自立した生活をしている高齢者はもちろん、周囲の手助けを受けながらにこやかに暮らしている高齢者は、こうした要素がもたらす力を発揮したり、享受したりしながら人生の実りの時期を過ごしています。
これが私のイメージする「シン・老人」像であり、そうした高齢者が発揮したり、もっていたりする力こそが「シン・老人力」です。
昨今、拙著『80歳の壁』『70歳が老化の分かれ道』などが次々とベストセラーになり、時ならぬ“和田ブーム”が起きました。
どの本でも「美味しいものを食べ、好きなことをして暮らすことこそ健康長寿の秘訣」と述べていますが、私が25年以上前から主張し続けてきたことです。
今になって急に売れ始めたことに私自身、驚きながらも「読みは当たった」と総括しています。
「寝たきりでもいいから長生きしたい」という人はほとんどいません。「人生を楽しみたいから長生きしたい」という“実需”がはっきりしたのです。
しかし、出版社や編集者からはずっと「高齢者向けの本は売れにくい」と言われ続け、タイトルに「70歳」「80歳」と入れるのはもってのほかとされてきました。
ところが、コロナ禍に入った3年ほど前から、「70歳」「80歳」と入れた本が非常に好評で、よく売れるようになりました。
郊外型の書店や、アマゾンで1位になるなどネット書店でも好調です。つまり、70代、80代が車を運転して私の本を買いに行ってくれたり、ネット通販も使いこなして手に入れてくれたりしているわけです。
高齢者はお金を使わない=消費者として見られていない、という傾向が強い世の中ですが、実態は違うのではないでしょうか。欲しいと思うモノがあればアクティブに行動してすぐに買うし、世間が思う以上にITリテラシーも高いのです。
高齢者は、行動的で知的な「立派な消費者」だと世間に認めさせなくてはいけません。
◆高齢者こそ低迷する日本を救うカギ
80歳を対象にした本がネット書店でここまで売れるとは、私も想像していませんでした。
ただ考えてみると、さすがにこの年齢になると、書店に出かけるよりアマゾンなどで注文するほうが楽なのかもしれません。スマホをもつ高齢者も多いし、現役時代からパソコンに触れていたという人も多いのでしょう。
この“和田ブーム”で、出版社からは新刊の依頼が次々と来ましたが、テレビ局から「高齢者向けの番組を企画したい」というオファーは皆無、企業からも「高齢者向けに開発している製品やサービスへの意見が欲しい」という声はまったくかかりません。
あらためて「高齢者は消費者として忘れ去られている」と悟りました。
高齢者は、消費者として忘れ去られているどころか、医療費や介護費などで社会に負担をかける存在として、厄介者扱いされる風潮さえあります。
2025年には、いわゆる「団塊の世代」が全員75歳以上となり、日本の人口の2割近くを後期高齢者が占める見込みです。これが「2025年問題」として、日本の危機であるかのようにも言われています。
しかし私は、こうした高齢者層こそ低迷する日本の経済や社会を救うカギになると考えます。
高度経済成長期を過ごし、バブル期も体験しているので、買い物をするにも目が肥えています(写真提供:PhotoAC)
◆「消費上手」な世代
高度経済成長期を過ごし、バブル期も体験しているので、買い物をするにも目が肥えています。
いわば消費上手な世代ゆえ、モノが売れなくて閉塞感が漂う日本社会の空気を変える存在になると思うのです。
元気だからお金を使う高齢者の「消費する力」。好きなことをした結果、元気になり、健康長寿につながる「消費がもたらす力」。
後者は、医療費や介護費など社会保障費の抑制にも直結します。
元気な期間が長ければ長いほど、消費者としてお金も使います。両者は相互に関連して、日本社会の構造を大きく変える影響力を発揮すると思います。
すでに、今の高齢者の多くが、家に引きこもって孫の世話をしながら“お迎えを待つ”という時代ではありません。
今後さらに、歳を重ねても元気で活動的な人が増加すれば、さまざまな場面で社会と関わりをもつ人が今以上に増えていくことは間違いないでしょう。
日本では1990年代の半ばから、消費不況が続いています。消費は落ち込み、生産はだぶついた状態から抜け出すことができません。
◆お金を使ってくれる高齢者を大切に
それなのに、世の中ではいまだに「生産性神話」が大手を振って語られています。効率や成果を競い合ってきた社会から、少しも変わっていないのが実情です。
需要(消費)が伸びず供給(生産)が過剰となっているのですから、生産性は多少低くても、消費を増やすほうが重要であるにもかかわらず……。
極論すれば、こうした状況では「真面目にコツコツ働くばかりで、節約してお金を使わない人」よりも「ぶらぶらしていてお金を使ってくれる人」を大切にしたほうがいいわけです。
私が高齢者たちこそ日本を救うと考える理由のひとつは、消費者としてのパワーです。
何はともあれ、個人金融資産のうちの7割、約1400兆円は60歳以上の人がもっているわけですから。
また、高齢者の8割が元気で自立しているとも先述しました。
すべての高齢者に経済的な余裕があるわけではないのですが、お金を貯め込んで爪に火を点(とも)すようにして生活している人ばかりでもありません。
大企業に定年まで勤めて企業年金に恵まれ、住宅ローンも払い終え、退職金ももっている人が大勢いるのです。
豊かな日本という国をつくり上げた立役者なわけですから、これから好きなようにお金を使うことに遠慮する必要はありません。
シン・老人は「お金を使ってくれる人」として、経済的な観点からも大切に扱われるべき存在なのです。
※本稿は、『シン・老人力』(小学館)の一部を再編集したものです。
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